トンテンカンテン、トンテンカンテン!
部屋の外から響いてくる金属音で目が覚めた。
時計を見るとまだ朝の7時。
いったいなんだよぉ。
窓から見ると裏の運河で工事が始まっていた。
まったく、こんな早朝から働かなくってもいいじゃん。
お気楽なイメージのあるイタリア人だが、ヴェネツィア人は別なんだろうか?
布団をかぶって二度寝する。
で、再び起きたら午前9時。
今日の列車は昼過ぎだから時間に余裕がある。
ゆっくりホテルの朝食をとり、Minakoさんからお借りした「銀色のフィレンツェ〜メディチ家殺人事件」(塩野七生・著/朝日文庫)を読み終わる。
うん、だいぶフィレンツェのイメージが沸いてきた。
ホテルをチェックアウトしてヴェネツィア駅へ。
次々と新しい観光客がやって来て、今日もツーリストインフォメーションには長い行列ができていた。
フィレンツェ行きの列車はユーロスターという特急列車。
ヨーロッパの主要都市を結ぶ新幹線のようなものだろうか。
確かに座席の配置には余裕があって近代的なのだけれど、全席禁煙の上、乗車率が100%近くて足も投げ出せない。
僕はいつものコンパートメントの方が好きだなぁ。
3時間弱走って列車はフィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に到着。
駅構内のホテル予約窓口には列ができている。
時刻は午後3時半。
自力で宿探しをするには微妙な時間だが、幸いにもフィレンツェの安宿は駅周辺に集中している。
とりあえず、ガイドブックで目星をつけているホテルだけでも自分で回ってみよう。
が、甘かった!
1つ星ホテル6軒、2つ星ホテル3軒を回ったのだが空室は1つもない。
なんだかヴェネツィアの悪夢がよみがえってくる。
仕方なく僕も行列の最後尾に並ぶことにした。
すると、どこからか客引きのおじさんが近づいて来て小声でささやく。
「駅から徒歩10分。バス・トイレ付き。1泊14万リラでどうだい?」
ヴェネツィアでホテルに大金を使ってしまったからフィレンツェではなんとか10万リラ以内に押さえたい。
僕が「もっと安いところを探してるんです」と断るとおじさんは一旦退却し、別のホテルのパンフレットを持って再び近づいてきた。
「駅から徒歩10分。バス・トイレ付き。1泊US$65」
だいたいこの手の客引きには手数料が上乗せされているものと相場は決まっている。
「今の時期フィレンツェのホテルはいっぱいだよ」
なおも食い下がるおじさんだったが、ていねいにお引き取りいただいた。
1時間ほど並んでやっと僕の順番がやって来た。
条件をいうと窓口のおばさんは「一番安いのは1泊8万リラだけど…」。
即決!
手数料を払ってもなんとか予算内に収まった。
6月に入ってぼちぼち観光シーズンが始まっているのだろう。
ヨーロッパを抜けるまでホテル探しは苦労が絶えなさそうだが、これもまた旅の醍醐味といえなくもない。
というわけでやって来ましたHotel Sampaoli。
シャワーとトイレは共同だが部屋は清潔だし、受付のお兄ちゃんも愉快で文句なし。
なにしろヴェネツィアのホテルの3分の1の値段なのだ。
文句をいったら罰が当たる(笑)。
荷物を置いてさっそく街へ出る。
まずはドゥオーモ広場にある“花の聖母教会”。
で、でかい!
どこまで下がってもカメラのファインダーに収まりきらない大きさだ。
そして、これまでに見たことがない白を基調に緑と赤を配した色使い。
それでも下品な派手さにならず、荘厳さを失わないデザインはさすがイタリア人というべきか。
もう中に入れる時間は終わっていたので、その足でシニョーリア広場へ。
ここにはかつてメディチ家の居城だったヴェッキオ宮殿があるのだが、これまたでかい!
というか、高い!
鐘楼の高さは94mだ。
すぐ隣には有名な「ヴィーナスの誕生」を所蔵するウフィツィ美術館があるのだが、やはり今日は閉館後。
中庭には絵画のコピーや偽ブランドのバッグを並べた露店がいっぱいだ。
さらに足を伸ばしてヴェッキオ橋。
フィレンツェ最古の橋は2階建てのユニークなデザイン。
橋の上はちょっとした商店街になっている。
そして、橋上から見るアルノ川。
この景色はきっと数百年前から少しも変わっていないんだろうなぁ。
フィレンツェの街は余裕のある作りで歩きやすい。
同じ中世の都市国家でもヴェネツィアとはずいぶん違うもんだ。
僕もなんだか余裕が出てきたのかジェラートなんて食べちゃったりして。
夕食は念願のパスタを食べたのだった。
<今日の支出>(100L<リラ>=約6.5円)
チップ 1500L
ホテル代 25万L
電話代 1万3200L
マルボロ2箱 1万1600L
ホテル代(1泊分先払い) 8万L
ホテル予約手数料 4500L
絵はがき3枚 1500L
ジェラート 4000L
ミネラルウォーター 2000L
夕食(パスタ&サラダ) 1万1600L
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