とうとう香港を後にする日がやって来た。
「あと1週間でも2週間でもいていいですよ」とEricは言ってくれるけれど、香港はあまりに快適すぎて、ここで帰らなければいつまでもヌクヌクと滞在してしまいそうだ。
「日本のテレビは10月が改編だから、それまでに帰らないと仕事がなくなっちゃうんだ」というのを口実にして無理やり出発することにしたのだった。
香港は今日も朝から雨が降っている。
Ericは通勤路をわざわざ遠回りして空港バスの停留所まで見送りに来てくれた。
L.A.のLanguage Exchangeで出会ってから1年8ヶ月。
お互いの言葉を教え合ううちに本当に心を許しあえるようになった数少ない友人の1人だ。
僕は英語に関してデキの悪い生徒だったが、Ericは日本語の優等生。
今回僕がプレゼントした漢和辞典もすでにしっかり活用してくれている。
「今日みたいにツライときや悲しいときに降る雨を『涙雨』っていうんだよ」
これが今回の滞在における最後のレッスン。
Ericのことだから次に会うときにはこの新しい語彙をすっかり自分のものにしてしまっているに違いない。
別れの実感がわかないまま香港空港へ。
僕がボ〜ッとしている間にタイ国際航空632便は離陸し、2時間弱のフライトで台北に到着した。
台北ではまた新しい出会いが待っていた。
岩野央さん。
L.A.のエンタテイメント系留学生集団PONOCfilmediaのニシ君が「台湾に行くんだったらぜひ会って下さい」と紹介してくれた彼は台湾のテレビでも活躍している芸人さん。
5年前にひょんなきっかけで台湾に渡ってきた彼は、言葉も分からないところからスタートしたという苦労人だ。
現在は人気番組の準レギュラーも持っているとはいうものの、「この前も電話を止められちゃって」というから、芸人の道はやはり大変らしい。
彼に案内してもらいながら台北駅周辺で宿探し。
台北も決して物価は安くないのだけれど、彼のおかげで1泊700元(=約2450円)の南国大飯店を見つけることができた。
雰囲気は場末のビジネスホテルといった感じだが、部屋に電話もついているし繁華街にも近く、僕にはこれで十分だ。
僕が台湾でチェックしたいと思っているのは、日本のエンタテイメントがどんな形で受け入れられているかということ。
マレーシア、シンガポール、香港を見て、特に日本の音楽やテレビドラマがアジアで受け入れられるということは確信していたが、台湾はこれら3ヶ国にも増して浸透度が高いと聞いていたから、その実態をしっかり自分の目で確かめたいと思っていた。
そんな話をしていたら、岩野さんがホテルの部屋のテレビをつけて説明してくれた。
ケーブルテレビの普及率が高い台北では全部で100近いチャンネルがあるのだが、そのうち3つのチャンネルでは日本のテレビ番組がそのまま放送されているという。
さっそく見てみると、ドラマやアニメはもちろんのこと、「ASAYAN」や「ガチンコ」といったバラエティー番組も中国語字幕付きであること以外、日本とまったく変わらない。
日本のテレビ屋としてはとても嬉しいことだ。
街を歩きながらCDショップを覗いて回ってびっくり。
日本モノの占める割合はこれまでのどの国より多い。
店内のBGMはもちろん日本の曲だし、壁に張ってある売り上げトップ10には地元アーティストに混じって倉木麻衣がしっかりランクインしている。
「日本モノ」というジャンル別ではなく、総合チャートに入っているところがすごい。
台湾でのもう1つの楽しみは、やっぱり食事。
「安くて旨いものが食べたい」という僕のリクエストに応えて岩野さんが連れていってくれたのは、台電大樓の学生街だった。
あちらこちらからいい匂いがただよってきて、それだけで食欲がそそられる。
そんな中の1軒に入って岩野さんがオーダーしてくれたのはこんなメニュー。
中でも僕が気に入ったのは、豚の角煮ご飯。
甘く煮込んだ豚肉の上におろしニンニクをのせて食べるのが最高で、思わずおかわりしてしまった。
さらに別の屋台で花生豆花という豆腐のデザート。
ピーナッツ風味の甘いシロップの中に浮いた、絹ごしよりずっと柔らかい豆腐が絶品だ。
この後もタピオカミルクティーを飲みながら、岩野さんに台湾のテレビやお笑い業界についていろいろ教えてもらったのだった。
<今日の支出>(HK$1<香港ドル>=約16円)(1元<台湾元>=約3.5円)
朝食兼昼食(チャーハン) HK$54
日経新聞 HK$32
マルボロ1カートン HK$100
空港バス(2人分) 220元
ホテル代(4泊分) 2800元
CD3枚 1124元
地下鉄 20元
夕食(豚の角煮ご飯など2人分) 240元
タピオカミルクティー&アイスコーヒー 110元
お茶&パン 48元
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