午前8時起床。
次の目的地はヨルダンのアンマンに向けてホテルをチェックアウトする。
今日はエルサレムから陸路で国境を越えようと思っているのだけれど、国境のビザ情報が錯綜していてよく分からない。
イスラエルとヨルダンの国境検問所はキング・フセイン橋、アレンビー橋、アラヴァボーダーの3つ。
ところが、アレンビー橋がヨルダン側ではマリク・フセイン橋と呼ばれていて英語に直訳するとこれまた「キング・フセイン橋」。
ツーリストインフォメーションの人に聞いてもどちらの「キング・フセイン橋」を指しているのかよく分からないのだ。
普通の国境ならどちらを通ってもよいのだが、イスラエルとヨルダンの場合そうはいかない。
「キング・フセイン橋」のうち1つは非公式な国境で、ビザが国境で取れないのだ。
アラヴァボーダーならビザは確実なのだが、ヨルダンの入国スタンプを押されてしまい、その後シリアやレバノンに再入国できない。
なんとかしてビザも取れてスタンプも押さないでくれる「キング・フセイン橋」を探し当てなければならない。
ツーリストインフォメーションの人が「事前にビザがないとヨルダンには入れない」と言い張るので、キング・フセイン橋とアレンビー橋へのセルビス(乗り合いタクシー)を出しているAbdo Taxiのオフィスで聞いてみることにした。
すると、国境でビザが取れる「キング・フセイン橋」は一番北の国境だということが判明。
さっそくセルビスに乗って出発することになった。
エルサレムから北へ向かうセルビスは途中でヨルダン川西岸のパレスチナ自治区、いわゆる“ウェストバンク”を通る。
境界には兵士の立つ検問所があり「個人旅行者進入禁止」と書いてあったが、運転手が兵士と一言交わすだけでなんなく通過。
なんだか拍子抜けだ。
ところが、ウェストバンクに入ってしばらくしたところで突然セルビスが停車した。
どうやら駆動ベルトが切れてしまったらしい。
あたりは車もまばらな砂漠地帯。
おいおい、こんなところで…、と思ったら、運転手は慌てず騒がず携帯電話で救援を頼んでいる。
こんな砂漠のど真ん中だからこそ携帯電話は必需品なのだろう。
待つこと1時間で救援の車が到着。
乗客は全員新しい車に乗り換えて国境に向かったのだった。
午後12時半、イスラエル側の国境に到着。
僕以外の乗客は全員イスラエル人とヨルダン人で簡単に通過していったのだが、僕は入国時と同じく、また2人の審査官に質問責めされることになった。
やはりパスポートにシリアとレバノンのスタンプが押してあるのが気になるようだ。
エルサレムではどこに泊まって何をしていたか、といったあたりを細かく聞かれたが、先方もツーリストに気を使っているようでそれほど不快ではない。
係員が若い女性なのも不必要な摩擦を避けるためだろう。
それより僕が驚いたのは、質問されている間、荷物をコンクリートの囲いの中に入れておかれたこと。
おそらく爆発があったときの被害を最小限にするためだろうが、なんだかやけにリアルだ。
無事、審査をパスしてイスラエルを出国。
陸路の国境には珍しく免税店があり、無料サービスのジュースだけいただいた。
国境連絡バスで「キング・フセイン橋」を渡り、ヨルダンの入国審査へ。
イミグレーションの建物の中に入ると壁に「国別ビザ料金表」がはってある。
ということは、ここでビザがもらえるということで一安心だ。
多くの国の旅行者がビザ代として10ディナールかかるのに、日本人は無料。
日本の他に無料の国はリビア、モロッコ、南アフリカだけ。
僕にとってヨルダンは遠い国だったが、もしかすると僕の知らないところで日本とヨルダンには密接な関係があるのかもしれない。
入国審査官も僕が日本のパスポートを見せると「ジャパーン!」と笑顔になっていたし…。
というわけで、パスポートにスタンプを押されずに無事、入国完了。
時刻は午後2時を回ったところだった。
アンマン行きのバスを探すべく歩いていくと、国境のターミナルにはタクシーが数台停まっているだけ。
僕が困って立ちつくしていると、おそろいの緑のヤッケを着たポーターたちが親切にあちこち聞き回ってくれた。
それによると、アンマン行きのバスは5ディナールだが午後7時まで便がない。
タクシーなら今すぐ出発できるが料金は50ディナールだという。
いくらなんでも1万円近くもタクシーに乗るわけにいかず、構内の売店前でバスを待つことにした。
ここでもやはり午後の暑い時間帯は休みになるらしい。
銀行やレンタカーの窓口にも人影は見られない。
しばらくすると同じくアンマンに向かうというオーストリア人のバックパッカーがやって来たのでしばし雑談。
だが、さすがに5時間は間がもたない。
いつしか2人とも黙って静かに時が過ぎるのを待つことになってしまった(笑)。
午後7時、ついに待望のバスがやって来た。
バスに揺られること2時間半でアンマンに到着。
オーストリア人の彼と割り勘でタクシーに乗り、ダウンタウンのCliff Hotelにチェックイン。
2人でホテル近くのアラブ食堂に行き、夕食を一緒に食べたのだった。
<今日の支出>(1NIS<シュケル>=約30円)(1JD<ディナール>=約180円)
切手10枚 23NIS
セルビス代 60NIS
イスラエル出国税 66NIS
国境連絡バス 4NIS
ポテトチップ&コーラ 1JD
アンマン行きバス代 5JD
タクシー代 0.50JD
夕食(アラブ料理) 0.75NIS
ミネラルウォーター&パン 2JD
シャワー代 0.50JD
絵はがき 0.15JD
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