午前9時起床。
CNNがトルコ・イスタンブールのテロリスト人質事件を報じている。
イスタンブールといえば僕がヨーロッパの最後に行こうと思っている町じゃないか。
こんなニュースが急に身近に感じられる。
パリのホテルは今日がチェックアウトの日。
次はどこへ行こうか昨夜から考えていた。
なにしろ僕の手にはユーレイルパスがある。
ヨーロッパの鉄道で行けるたいていの国なら自由自在なのだ。
大ざっぱな計画ではフランスからオランダ経由で北欧へ。
ビザが取れればフィンランドからロシアへ渡り、東欧経由でドイツに戻って来れたらいいな、と考えている。
フランスの田舎町で2〜3日のんびりするかな、とも考えたのだが、ここはとにかく次の国へ進みたいという気持ちの方が上回った。
よし、北へ行こう、ベルギーだ!
ホテルをチェックアウトし、地下鉄に乗る。
パリ北駅まではたった15分ほどで到着だ。
トーマスクックの時刻表によると、パリーブリュッセル間の列車は1時間おきに走っているが予約が必要らしい。
さっそく窓口に並んで11時55分発の座席を予約する。
ユーレイルパスは1等にも乗れるのだが、あいにく満席で2等席だ。
2等といえども座席は快適そのもの。
列車は定刻通りに発車した。
国境を越える国際列車だというのに出入国手続きもなければパスポートチェックもない。
ついでにいえば免税店もない。
そういえばイギリスからフランスに入国するときもパスポートにスタンプを押さなかった。
これがユーロ統合に向けた国境の敷居の低さっていうやつなのか。
列車は特急らしく途中に1度も駅に停車することなく、ブリュッセル南駅に到着。
たった1時間半の旅だった。
新しい街でまずやることといえば宿探し。
駅構内にホテル紹介所を見つけ、さっそく飛び込むことにした。
「あのぉ、安いホテルを探してるんですけど…」
「Sorry to say, you have no choice...」
なんでも今週いっぱいシーフードショーというコンベンションが行われていて、市内のホテルはピンからキリまでほぼ満室なのだそうだ。
ああ、コンベンション…。
ホテルを予約せずに移動する旅人にとってコンベンションこそは鬼門なのだ。
一昨年のアメリカ大陸横断のときにテキサスあたりでコンベンションに遭遇し、空きモーテルを探して100マイル以上も走り回った悪夢が思い出される。
ただ1つの選択肢として提示されたホテルは1泊なんと6800BF(=約1万9720円)!
「これ以下のホテルはないわ」とお姉さんはすまなそうにいう。
1500BF以下のホテルを考えていた僕にとってこの値段はとても妥協できる値段ではない。
しかたなく一旦紹介所を出て、同じく構内にあるツーリストインフォメーションへ。
改めて聞いてみたが、コンベンションで宿泊施設がひっ迫しているのは確からしい。
たむろしていたフランス人バックパッカーの女の子3人組によると、ユースホステルはもちろん、ガイドブックに出ているホテルに片っ端から電話したが全滅だったという。
う〜む、恐るべし、コンベンション。
しかし、その辺で野宿するわけにもいかない。
しかたなくさっきの紹介所に戻り、唯一のホテルを予約する。
本当はブリュッセルに3泊しようと思っていたのだが、2泊に予定を短縮して…。
紹介されたHotel Ustelは駅から歩いて5分ほどのところにあった。
「コンベンションでテンテコ舞いなのよ…」とフロントの人。
表示を見ると3つ星で、部屋も清潔で広い。
ツインの部屋なんていらないのになぁ。
ま、決めてしまったものはしょうがない。
気を取り直して街歩きに出かけよう!
まずは市庁舎や王の家もある中央広場、グラン・プラス。
“絢爛たる劇場”とも形容されるだけあって、豪華な建物に圧倒される。
ベルギーといえば忘れちゃならないのがアレ。
広場から歩いてすぐのところにさりげなくアレはあった。
ン? なんだか分からない?
それじゃ、アップでホレッ!
そう、“ブリュッセルの最長市民”こと小便小僧。
どうして“最長市民”なのかはいくら見たってよく分からないけれど(笑)。
続いて、ベルギーといえばコレでしょう。
そう、ベルギーワッフル!
甘い物好きの僕にはたまらないおいしさだった。
さらに歩いてブリュッセル公園へ。
公園をはさんで国会議事堂と王宮がある。
ブリュッセルの街並みはパリのそれを濃縮した感じ。
大通りから1本入った裏道など、けっこう味があって面白い。
ホテル代が高くついたので夕食はスーパーで買ったサンドウィッチとコーラ。
あまりに悔しかったので、帰り道にグラン・プラスのツーリストインフォメーションに寄って「今日泊まれる一番安いホテルはいくらですか?」と聞いてみた。
すると答えは「いつもなら2000BFくらいから紹介できるんだけど、今週はコンベンションがあって、もう紹介できるホテルが1つもないのよ。ごめんなさい」。
広場には宿が見つからないらしきバックパッカーが何組もうろうろしている。
泊まるところがあっただけでもラッキーだった、と前向きに考えることにしよう。
<今日の支出>(1F=約17円)(1BF<ベルギーフラン>=約2.9円)
ホテルの電話代 54.00F
列車予約料 69.00F
マルボロ2箱 44.00F
ミネラルウォーター 10.00F
ホテル(2泊) 13,600BF
ワッフル 80BF
絵はがき5枚 35BF
夕食(サンドウィッチとコーラ) 130BF
これ、日記才人(にっきさいと)の登録ボタンです。いつもその1票に励まされてます。 |