L.A.は今日も雨。
いくら雨期とはいえ、去年、一昨年と比べると今年の降水量はかなり多い。
一年中晴ればかりで退屈なローカルニュースの天気予報コーナーもこの冬は張り切って雨を伝えている。
管理人さんの部屋を訪ねて最後の家賃を払う。
このアパートもあと1ヶ月か。
最近、人に会うたびに「もう帰っちゃうんですねぇ」と言われるのだけれど、正直なところ本人はまだ全然実感がわいていない。
日本に直接帰るのではなくその前に長い旅が控えているからかなぁ。
というわけで、今日もひたすら読書。
で、「本は変わるか?〜世界の電子出版・最前線からの報告」読了。
これはオンラインジャーナル「本とコンピュータ」に掲載された文章を再編集したもの。
オンライン書店やCD-ROM出版、オン・デマンド出版など世界で行われている電子出版の関係者がその試みを報告しているのだが、その中でいくつか興味深い指摘があった。
十五世紀にグーテンベルクが発明した印刷術は、識字能力や教育面において階級制度を根底からおびやかすおそれがあったため、イギリスでは、これにたいして保守勢力が著作権制度をつくるという行為でこたえている。その結果、出版同業者組合が所有するロンドンのわずかな印刷所をのぞき、すべての印刷所が閉鎖に追いこまれることとなった。
これは知らなかった。
著作権制度というのは上の階級が既得権益を守るために作ったのか。
なとなく現在のNapsterと音楽業界の関係に似ているなぁ。
その後の印刷術普及までの歴史をたどればNapsterの未来も見えてくるのかもしれない。
また、インターネットで「99人の最終電車」というハイパーテキスト小説を連載している井上夢人氏は、こんなことを言っている。
同じ小説を読んでも、面白いという人もいれば、つまらないと感じる人もいる。それは、ある意味で、その小説を面白く完成させた読者と、つまらなく完成させた読者がいるということでもあるんじゃないかと思うんですね。
インターネットというのはライブ感覚なんですね。CD-ROMが音楽でいうCDだとすると、まるでコンサートをやっているような感覚。生ですからとちりもあるし、一曲おわると拍手がくる、あるいはブーイングがくる。
小説や映画など単線の物語をマルチメディア化するときによく検討される「マルチシナリオ」方式に対してこれまで僕は若干懐疑的だった。
なぜなら物語のプロが苦悩して厳選したナンバーワンのストーリーに加えてもっと魅力的な物語を組み入れるのは難しいのではないかと思っていたからだ。
だが、井上氏の言う“ライブ感覚”を生かすことで物語だけではない面白みが付加できるかもしれない。
いや、物語に付随する「場」こそ新しい形のエンタテイメントになり得るような気がする。
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